蘭学事始 - 40

一、これによりて同社も交を通ぜず、かれも頼み少き身となりて甚だ窮厄してありしに、さりながらその好むところの業は廃せざりしを、かの稲村なる者など、ひそかにみつぎせしよしなり。その際稲村等、わが男伯元に内々謀りて、蔵書中内科12部の書を傭して訳せしめなんどしてその窮を凌がせしといふこと、後に聞きたり。遂には自新して志を改めたりと聞きたり。またその頃、稲村が企てしハルマ釈辞の書は、かれが加功してその業を助成せりとなり。